この記事は、前回の記事に引き続き直圧式サンドブラストの各パーツの作成記録です。
作成中、あまり写真を撮らなかったため作成過程を説明する記事にはなりませんでした。
こんな風に作ったのね・・と参考になればと思います。
この記事より、動画の方がわかりやすいかもしれません。
目次
1使用した配管部品
ネットで調達
〇ブラスト用ホース ブレードホース内径9㎜ 10m巻(メディアタンク~ノズル) 2400円
〇タケノコノズル ブレードホース接続用 700円
〇圧縮空気用ホース ポリウレタンチューブ 20m巻(黒、表面がツルツル) 3500円
〇ワンタッチ接手 ポリウレタンンチューブ接続用 8個(差し込むだけで接続) 1200円
〇真鍮ブッシング 径変更用 8個 1800円
〇3方バルブ メディアタンク切替用 2個 4000円
〇エアレギュレーター 2000円
〇電磁バルブ 3200円
〇ブラスト用ノズル 白セラミック製4個セット 1200円
合 計 20,000円
ホームセンターで調達
〇メディアタンク用塩ビ管Φ100㎜、とΦ100㎜用キャップやインクリーザー
〇その他、配管用接手類
水道、排水、などの配管部品を流用するためどうしてもホームセンターで現物を見ながらの調達となってしまいます。
購入パーツのすべてを使ったわけではなく、試行錯誤しているうちに追加購入したり、使わないパーツが出たりと・・・かなりパーツが余りました。
また何かに使えるでしょう。
材料が転がっているとアイデアをすぐ実行したりひらめきの元になったりするので、無駄ではないことにしております。
2ブラストケースの作成
MDFボード5㎜厚で作成しました。鉄角パイプで作成した移動用キャスターに乗っかっています。
機械類を移動しやすくすると狭い作業小屋を有効活用できます。
初めに全体の写真を掲載しておきます。2つのタンクを切り替える仕様のためパイプ類が入り組んでおり写真での説明は諦めました。
雰囲気だけ伝わればと思います。(配管図は前の記事に掲載してあります)
ケースの形状は下部がすり鉢状のアリ地獄になっていて粉塵が舞わないように密閉できれば適当でよいと思います。
ブラストケースに必要な機構(部品?)
次のしくみを念頭に置いて作成します。
①すり鉢の底部にメディア回収用パイプとバルブを設置。(手動で回収するなら開閉できるフタやバルブ等)
②ケース正面の中段付近に、自分の体格に合わせた作業用長手袋のための穴
③作業用手袋穴の上に材料出し入れ用のフタ兼覗き窓と吸気口
④ケース側面or背面の上部に排気用ダクト穴(掃除機を接続)
⑤ケース内照明
⑥ケース内作業台(金網、メッシュ)
①~⑥各部の説明
①ケースのすり鉢・・・はこんな感じです。大きな図画工作ですね。
②作業用手袋穴・・・は内径120㎜程の塩ビ管接手を使用。
これに両面テープで長手袋を固定しています。
【Amazonでの商品名】
シンガー 天然ゴム 厚手手袋 スーパーロング(1双) L / 2-7546-01:Lサイズ(全長58cm)
100均のキッチン用手袋などを代用しようかと思いましたが、手間暇&耐久性を考えると一体成型のメーカー品の方が安上がり&満足度が高いと思います。
③のぞき窓付きフタ・・・はケースと同じくMDF材5㎜厚で枠を作りガラス板を挟んで固定したものです。
このフタは蝶番やパッチン錠などでの固定はなく、ただケースにハマっているだけです。ブラスト時には掃除機の負圧がかかるため密着します。
密閉性を保つためエプトシーラーをパッキン代わりに使っています。
透明な覗き窓の材料は樹脂にするかガラスにするかと迷うところですが、出来ればガラスがいいと思います。
多少重くなりますが、付着したメディアをふき取るときに傷つくことがなく長期間クリアな視界を確保できます。
使用したガラスはパソコンモニター台から台座を外したものです。ガラス屋さんに注文するより安価に強化ガラスが手に入ります。
【Amazonでの商品名】
グリーンハウス 強化ガラスディスプレイ台 樹脂スタンドタイプ 耐荷重20kg 幅560mm GH-DKBB-CL 21 x 56 x 8 cm
約2200円。
同サイズのアクリル板だと1800円位はしますので、傷がつかないメリットを考慮するとガラスの方がお得かと。
強化ガラスの4隅に接着されている脚は、ミニバーナーで少しずつ加熱し柔らかくして外しました。(熱いお湯位の温度で外れました。)
新品を即分解・・・ちょっとかわいそうです。ごめん。
ガラス窓の上部に吸気口を設けガラス表面を新気が流れるようにしてあります。気休めかもしれませんがガラスへの粉塵の付着を防ぎ視界を保つためです。
④排気用ダクト穴・・・ブラスト時に舞う粉塵を回収するための排気口です。
サイズは使用する掃除機、集塵機のダクトに合わせます。
排気口を設ける理由
ブラストすると、アルミナ(メディア)は重いので舞い上がることはなく下部のすり鉢部に落下しますが、粉砕されたアルミナや研磨された材料の粉末がケース中を舞い視界を遮ります。
この粉塵を回収し視界を保つため排気します。
また、ケース内を負圧に保たないとブラストノズルから噴き出す圧縮空気によりケース隙間から粉塵やメディアが噴き出しますので、これを防ぐため負圧をかけています。
当初、吹き付けられたメディアが回収されると思いこみ、排気口と掃除機の間にサイクロンを置いてみましたが、回収されるのは粉塵であり舞い上がったメディアが回収されることはありませんでした。
⑤照明・・・ ケース上面に2cm×45cmの穴をあけ透明アクリル板で窓を作りました。この窓からLED照明で内部を照らしています。
ブラストケースは覗き窓以外は壁ですから照明がないと薄暗く、対象物のブラスト具合の把握が難しいです。
また、ブラスト時は結構粉塵が舞うため照明は出来る限り明るい方がいいです。
⑥ケース内作業台・・・ブラスト対象を置くための金網です。
ピッタリサイズの金網がなかったためケースサイズに合わせ木製のメッシュを自作ました。
後から思えば、市販されている金網、メッシュのサイズに合わせてケースを作成した方が楽でした。
3メディアタンクの作成
安価に作成するためΦ100㎜の塩ビパイプを使用しています。
樹脂製だと圧力に耐えらえるか不安になる方もいるかと思いますが、直圧式サンドブラストですと2気圧程度しか加圧しないため大した圧力はかかりません。
実際、接着を忘れただ押し込んだだけの塩ビ管でも圧力で外れることはありませんでした。しっかりと専用接着剤で固定しておけば破裂の心配はありません。(配管用パーツはすべてしっかり密着するよう規定のテーパー状になっています。)
タンクに必要な機構(部品?)
①タンク下部にT字管
排水用塩ビ管Φ100㎜からインクリーザーで直径を40㎜に下げて水道蛇口取り付け用のT字管を固定。
摩耗時の交換や改善のため、水道管のネジ部を利用し脱着可能にしておきます。
②タンク上部の気密性のフタ
メディアの投入のためのフタです。2気圧ほどの正圧~掃除機の負圧がかかりますので気密性は大事です。
Φ100㎜管にフィットする清掃用キャップを利用しています。
③タンク上部側面に配管用接手
圧縮空気流入用ウレタンホースとメディア回収用のブレードホース用の接手を側面にねじ込みで固定。
管用ネジのタップを2種類購入しました。ちょっと値が張りますが確実に固定できて安心です。
4ブラストノズルについて
750W・タンク38ℓコンプレッサーだと直径は3㎜までが限界です。これ以上だとあっという間に圧縮空気がなくなります。
1.5気圧~2気圧で吹いていると1分程度でコンプレッサーが稼働し始め、どんどんコンプレッサータンクの圧力が下がっていきます。
小さな3㎜のノズルでも連続使用はできません。途中で圧力回復のため休止が必要です。
現在使用しているノズルは「なないろ館のノズル4個セット 2.0・2.5・3.0・3.5mm各1個 」です。
Amazonで1180円で売っていました。
ブラストノズルの作成
作成というほどのものではなく、ホース接続用タケノコノズルのネジ部分に固定してあるだけです。
ナットの内径をなないろ館のノズルの径合わせて少々拡大してあります。
当初、次の写真のようにガン形状にすれば使い勝手良いだろうと思ったのですが、ブラストケース内での取り回しや、入り組んだパーツの内部にノズルを突っ込んでのブラストなどで、ガン形状が邪魔になることがわかりました。
また、調子に乗って余計なモノを作ってしまいました。→ 捨てました。
現在は、先ほどの写真のとおりホースの先にセラミックノズルがついているだけです。
究極、ホース内径とセラミックノズルがフィットすればタケノコノズルも不要です。ホースにノズル直に挿し込むだけで十分だと思います。
5メディア(研磨剤、砂)について
アルミナとガラスビーズを使用しています。
まだ使い始めなので、メディアの特性を語る知識はありません。分かることは、「アルミナは硬い砂でブラストした結果は硅砂と似ていてザラザラしたマットな仕上がりになる」、「ガラスビーズは艶のある梨地に仕上がる」、位です。
またまた調子に乗って10kgずつ買いましたが、5Kgで十分でした。汚れたパン焼き機の窯を全部吹いくのに1回の回収だけで済みました。つまり5Kg+αです。
趣味でたまに使うくらいなら5Kgあれば困らないと思います。
6メディアの回収について
写真ですと配管・チューブが入り組んでおり複雑に見えますが、回収の仕組みは単純で、掃除機でメディアタンクを負圧にして回収しています。
一点だけ必要な工夫があります。空気混合装置です。(大げさ)
ブラストケース下部に接続された回収用パイプは当然メディアで埋め尽くされます。が、パイプ内がメディアだけになってしまうと掃除機の負圧では吸い上がりません。
そのため、空気を一緒に吸い込ませ混合気にして回収しています。
後日、使ってみてわかったのですが、かなりの負圧が必要です。掃除機全開です。
ギリギリ回収できる負圧のためか、重いアルミナを回収するとアルミナが途中までしか吸い上がらず、空気の泡がポコポコとメディアを押しのけて上に上がってきます。
砂が沸騰した水のようです。見ていて不思議で面白いのですが鑑賞している場合ではありません。改良せねば!
タンクに戻った空気とメディアの分離について
メディアはタンク上部から進入し下方に10cmほど伸びるパイプからタンク内に下方に噴出し、空気はタンク上面の負圧管から掃除機へ流れます。この負圧管の直前にフィルターを設置してあります。
当初、サイクロン式にすればメディアと空気が分離すると思いタンク内上部にコーンを設けたのですが、全く無意味でした。
理由は、回収用パイプからタンクに吸い込まれるのは大半がメディアであり空気はわずかだからだと思われます。
掃除機のように「多量の空気に少量のゴミが含まれている」状態とは異なりコーン部分で空気の渦は発生しないようです。
遠心分離することなくそのまま上部の負圧管にメディアが吸い込まれてしまうため、サイクロン方式はやめ、シンプルに「下方に向かったパイプから下に吹き出す」という現状に落ち着きました。
直圧式サンドブラストの説明はここまでになります。
自作したモノをわかりやすく説明するのは難しいですね。
「木を見て森を見ず」ではなく、「木を説明し森を説明せず」 という気分です。(自分の作ったモノの全体を伝えられていないです。)
今後、工作に没頭せず撮影も心掛けます。
サンドブラストを作ってみて
なかなかいい道具です!次の条件をクリアできればなおいいです!
1思い立ったらサッと使える
狭い小屋なので使い始めに少々儀式が必要・・・。億劫になってしまいます。
2コンプレッサーは可能な限り大きいモノ
750w・38ℓタンクなら十分かと思いましたが大いなる勘違いでした。長時間の連続噴射ができないとストレスが溜まりますね。
作業小屋にサンドブラストが導入され一段と便利になりました。工作のレベルが上がりちょっと嬉しいです。
動画のとおり「複雑な形状の研磨ができる。」「均一な研磨具合になる。」といった他の工具や手作業では出来ない加工が可能なところ、が最大のメリットですね。
もっと早く導入すればよかった~。