周りを気にせず電動工具を使いたい。できることなら夜でも使いたい。家族に怒られず工作をしたい。DIY好き共通の夢だと私は思っております。
この夢に近づくため今回は防音ドアを作成してみました。これでいつでも心置きなく電動工具を使えるはずです。
この記事は防音ドア作成の様子をまとめたものですが、だらだらとした解説になってしまいました。自分で書いておきながらつまらない・・・。
動画の方が短時間で様子が伝わりますので youtube を見た方がいいかもしれません。
目次
防音ドアのサイズと材料費
左右観音開き 片側のサイズ
幅735㎜ 高さ1950㎜ 厚さ81㎜(最大) 重量28.6kg
おもな材料費(左右ドア合計)
1×4材 438円 8本 3,504円
2×4材 659円 8本 5,272円
構造用合板 1240円 6枚 7,440円
カンヌキ 952円 4本 3,808円
木部保護塗料 950円 2本 3,900円
エプトシーラー 600円 3巻 1,800円
ステンパイプ 350円 2本 1,400円
アルミアングル 400円 4本 1,600円
ヒンジ 802円 4枚 3,208円
キーシリンダー 1980円
合計 33,912円
参考に似たサイズの木製ドアの価格をググってみると、一枚4万円前後が相場のようです。既製品の半額で済んだとうことですね。
もちろん市販品でうちの作業小屋にピッタリサイズのドアはありません。「DIYが高くつこうが安上がりだろうが」自作するので価格を比較しても仕方がありませんが、ちょっと気になりまして・・。
ドア本体の作成
構造は2×4材のフレームの表と裏に構造用合板を貼り合わせるだけの簡単なモノ。
厚み38㎜の2×4材を合板でサンドイッチしたボックス状の構造となるので剛性のあるしっかりしたドアが出来ます。
見てのとおり、誰でも作れるじゃん!と思える簡単な工作です。ただサイズが大きいだけです。
作業小屋の防音性を高めるためのドアですが、内部にグラスウール等は施工しませんでした。
現行のドアは構造用合板1枚+外周パッキンですが、これでもまあまあの防音性がありました。目的は吸音ではなく遮音なのでこれでよし。
材料の準備
使用材料は、1×4材、2×4材、12㎜構造用合板と、どこのホームセンターでも販売しているモノです。
うちには電動丸のこ、パネルソー、テーブルソーがあるのですが、かなりの割合でホームセンターのパネルソーでカットをお願いしています。
材料切り出しという「一番手間がかかり、粉塵が舞う作業」を可能な限り省略すべく、事前に、分かりやすいカット図を書いてからホームセンターの開店にあわせて突撃です。
組み立て
枠の2×4材は90㎜コーススレッドのみで固定しています。接着剤は使用しません。
構造用合板は表側はタイトボンド耐水タイプ+35㎜コーススレッドで固定。
室内側の構造用合板は速乾木工用ボンド+35㎜コーススレッドで固定。
コーススレッドは初めに4コーナーのみ打ち込み位置を確認。よろしければ、全周に打ちまくります。
適当な間隔で打ってもいいかと思いますが、美しく作りたい(完成後コーススレッドの位置は分かりませんが・・)という自己満から10cm間隔15cm間隔と印をつけて打っていきます。
等間隔に打ってあると「いいモノ作っているぞ」という自己満足に浸れます。
ここまで組みあがるとだいぶ重くなってきます。作業中の上げ下げ、移動が大変です。
飾り枠の固定
これは本当に飾りです。作業小屋の外観に合うようにとの私のセンスでございます。
構造用合板を両面に貼って状態でドアとしては十分ですが、そのままだと「のっぺらぼう」という感じでイマイチです。
外側で風雨にされされますので、木部保護剤を内側に塗布してから固定していきます。
完成後に木部保護剤を全面に塗布します。
外周の整形
ドア断面は、室内側から構造用合板→2×4材→構造用合板→1×4材と4重になっています。
当然外周面は凸凹です。
このままでもドアとしては十分ですが、面一(つらいち)に研磨して木部保護剤を塗布し耐久性アップを図ります。
研磨面積もあり、3㎜位削り落とす必要がありますのでベルトサンダーを使用します。
この作業のためにベルトサンダーを購入しました。「あったら便利だなあ」とは思っていましたがついに買うには機会がやってきました。
リョービのベルトサンダー2万円+予備サンディングベルト25枚セット1780円(安っ)
サンディングのビフォーアフターです。
バツグンの研磨力です!いい道具が手に入りました!
木部保護剤の塗布
ニッペの木部保護塗料を使用しています。以前はキシラデコールや他メーカーの塗料も使っていましたが、これ一種類に統一しています。カラーもウォルナットのみです。
ニッペが優れているというわけではなく近くのホームセンターで一番安いから、ただそれだけ。
木部保護塗料は浸透して木目を見せるタイプですが、木目は気にせず2度塗り3度塗りをしてかなり濃く塗装しています。
外部にさらされる面は必ず2度塗り以上しています。ドアの場合、完成1,2ヵ月後にさらに3度塗りをしています。ここまで塗ると水をはじく状態を長期間キープしてくれます。
ハードウッドと比べ耐水性の低いホワイトウッド2×4材を外部で使うには欠かせない作業です。
鍵&ドア開閉機構の作成
鍵は市販のディンプルキーシリンダーを使用しています。
大抵のディンプルキーシリンダーは5千円前後しますが、Amazonで1980円の破格品を発見。 同じ商品が楽天やホームセンターで5千円程で販売されていました。ちょっと得した気分です。
Amazonさん、ありがとうございます。
キーシリンダーは市販品がありますが、自作ドアのドアノブや開閉機構はオリジナル品を作成しなくてはなりません。
この鍵&ドア開閉機構の作成が一番時間がかかりました。
開閉機構のしくみ
キーシリンダの回転を真鍮シャフトで受けます。
真鍮シャフトのカムがアルミ製アームを上下させドアノブの軸をロック、アンロックさせます。
写真を見れば仕組みはわかると思います。
ドアノブ軸のステンレス円盤とドア上下の門落とし(カンヌキ)がリンクしています。
円盤の回転(90度ほど)で門落とし(カンヌキ)が上下することでドア自体をロック、アンロックします。
開閉機構の作成
ベース・・・・2.5㎜アルミ板
真鍮シャフト・・・・Φ10㎜丸棒から削り出し
アルミ製アーム・・・・5mmアルミ板から切り出し
ドアノブシャフト・・・・Φ10㎜のステン丸棒に直径40㎜のステン板を溶接。さらに4㎜ステンネジを対角に溶接。
ドア上下(カンヌキ)へのリンク・・・ステンレスパイプ+ステンレスナットを銀ロウ付け(ステンパイプの肉厚が薄いため溶接を断念)
ドアノブ(つまみ)・・・・ゴムの木(固くてタップ立ても出できる便利な木です)
毎度のことながら考えながらの工作なので時間がかかります。
完成品をみて同じモノを作るのは楽ちんですが・・・、どうして私の頭は初めから完璧なアイデアが生めないんでしょう。ニコラ・テスラがうらやましい。
ドアの取り付け
鍵、開閉機構を組み付ければドアは完成です。
体重測定
取り付け前に重さが気になったので体重測定です。 タニタの体重計にそっと載せてみると、28.6kgです。
一人で移動させるにはちょっと重いですが、ドアヒンジのメーカ―によると30kg未満は軽量ドアに分類されるようです。
比較のためネットを検索してみると市販の無垢の木製ドアは40kg以上あります。このドアは中空の木製なので当然軽量クラスですね。
でも人力では重いです。
ヒンジの取り付け
使用したドアヒンジは102㎜×102㎜(開いた時の面積、たて×よこ)のステンレスヒンジです。
Amazonで1枚800円。随分とお安いですね。
先にドア側に取り付けておきます。コーススレッドで固定しますが、軸で稼働する部分なので軸が通るようできるだけ正確に取り付けます。
インパクトは初めは使わず、手動ドライバーでヒンジのネジ穴中央に確実にコーススレッドが位置するよう注意してねじ込みます。
(初めからインパクトでねじ込むと、木目の影響で狙った位置にねじ込むのがムズカシイ)
最後の難関は建物側へ取り付けです。30kgの軽量ドアとはいえ一人での取り付けはしんどいですね。
片手でドアをおさえて、もう片方の手でドライバーを回す・・・という重労働を想像すると怖気づいてしまいます。
工夫という工夫ではありませんが、3㎜、5㎜、10㎜と複数の端材を用意して高さ調整をしています。
こうやって床面に端材をかませておけば一人でも狙った位置にヒンジを固定できます。
門落とし(カンヌキ)の取り付け
「鍵&開閉機構のGIF」のとおりステンレスシャフトでドア上下の門落とし(カンヌキ)を上下させてロック、アンロックしています。
カンヌキの受け穴を作るため、敷居を床面コンクリートに取り付けます。
アンカーボルトを4本打ち込んで、ステンレスボルトで敷居木材を固定していきます。使用木材はアマゾンジャラというハードウッドです。無塗装でも屋外での使用に耐えるらしい。
ドア交換後カンヌキの真下に受け穴を開けるのですが、正確に開けるのに苦労しました。
こういった稼働部分ってわずかな位置の違いで動きが渋くなってしまうんですよね。本当に1㎜以下の世界です。
やはり一か所の穴がビミョーにズレてしまいリューターでコリコリ削り位置調整しています。
調整作業って地味に時間がかかりますが、カンヌキが滑らかに動いて開け閉めできないと日々のストレスになってしまいますのでここはガンバリどころです。
自分が作ったモノがきちんと動作していると嬉しいんですよね。ドアを開けるたびに笑みがこぼれます。
(自分よ、よくった!と褒めちゃいます)
防音処理
ドアの音漏れの大半はドアと建物の隙間です。
分厚いドアを作っても、外周、左右のドアの合わせ目に隙間があれば音がジャンジャン漏れてきます。
今回パッキンはエプトシーラーを使用しました。
耐久性は分かりませんがホームセンターでお安く手に入りますので、劣化したら張り替えましょう。
ドア上部
上部は水切りも兼ねてアルミアングルを設置しています。
外壁を伝ってドア上部に水が溜まりますので室内側に流れてこないようにLアングルを設置しエプトシーラーでシールしています。
左右のドア合わせ目
2列離れた位置にエプトシーラーを貼りました。
左右ヒンジ側
すいません、写真ありませんがエプトシーラーを2列貼っています。
ドア下部
こちらも写真ありませんが、エプトシーラーを1列貼っています。
これで全周パッキンできました。これで虫一匹入れません。これは虫対策ではなく防音対策ですが、虫が入れないほど気密性が上がればかなり防音してくれるはずです。
実際、ドアを開閉すると耳がツンッとなります。「バフッ」とドアを閉めると秋の虫の鳴き声が聞こえなくなります。自宅より防音性が高いです。驚いた!
防音テスト
動画の最後に騒音計(スマホアプリ)で計測した様子を収めましたのでご覧ください。
テスト方法
騒音源はパネルソー
計測位置 ドア外側1.5m、地上1.6m
計測結果 ドア開 & パネルソーOFF時 27db
ドア開 & パネルソーON時 50db
ドア閉 & パネルソーON時 29db
50db→29dbに下がりました。といいましても、この29dbがどのくらいの音なのか数値ではピンときませんね。
ネットで騒音の目安一覧表(各自治体や騒音計測会社のページ)を参照すると「30db以下=深夜の郊外、小さなささやき声」と表現されています。
私の耳には「小さなささやき声」よりは若干大きいと感じますが、機械が計る音圧としてはそうなのでしょう。 かなり静かな部類です。
小屋の外に立つと、わずかに「ヒーン」という音が聞こえてきます。
住宅の給湯器(外壁に付いている一般的なモノ)の動作音に似たの音質・音量です。
これならいつでも心置きなく電動工具が使えそうです!目標達成です! 満足満足!