バイスを自作し「もうこりごりっ」て苦労を味わった後、どうしたことか「自作した方がいいのか、既製品を購入した方がいいのか」確認したくなりました。
安価なバイスと自作バイスを比較して「安物バイスのダメダメ具合を確認して自分を納得させよう」という心理が見え見えです。
というわけで、ボール盤作業用に使えそうな1万円以下の比較的安価なバイスを探してみました。
結論からいいますと「バイスは市販品を購入すべし」です。
安価なバイスでも自作バイス以上の精度と剛性が低価格&短時間(ポチるだけ)で入手できます。 これはお値段以上の価値があります。
格安バイスが届きました
購入しましたヤンキーバイスはAmazonで9000円程で販売されております。
ENGINEERというメーカー名、動画付きの作り込まれた商品説明ページ、段差のある口金に惹かれてポチってしまいまいした。
サイズは、口幅75㎜、口深さ38㎜、口開き78㎜、となります。
やはり価格を抑えている以上、イマイチなところがありまして・・・口金と摺動部に手直しが必要でした。
「ガッチリ材料を固定できればいいのだー!」と余り気にしない方にとってはストック状態で文句なしのバイスだと思います。
気になったところ
その1 摺動部のサビ
裏側の写真です。結構荒れています。赤さびとともに埃と油が混ざったようなしつこい汚れが付着しています。
長年使われていなかった古い機械のようです。 いつ製造されたのでしょう。
赤さびはリン酸水溶液でサビ取りし、オイルストーンで軽く研磨しておきました。
その2 摺動部の調整機構がない
ボール盤付属品や他の安価なバイスでは摺動部のキツさを調整するためのネジがついています。
「ネジで鉄板を押し当ててその面圧を調整する」というシンプルな構造です。
しかーし、このヤンキーバイスは何の調整機構もありません。 ご覧のとおり可動口金のガタつきは部品の精度にかかっております。(しかもこの青い部品左右対称ではありません。意図的なのでしょうか?)
つまり摺動部が摩耗してガタが大きくなっても調整しようがないってことです。 うーん心配になってきた。
その3 口金の精度が悪い
脱着できる口金がついています。 フラットバー等の角材を挟めるよう段差付の口金です。この段差の精度は問題ありません。
イマイチなのは丸棒を挟むための溝です。 水平、垂直に棒材をくわえるための溝が斜めっているんです!
水平の溝を修正したあとの写真だとよくわかると思います。
驚きました! 鋼材に水平、垂直な溝を掘るという簡単な作業でどうしてこんなに雑な加工になってしまうんだ??
量産しているということはそれなりの工作機械があるだろうし、一度「水平垂直」を調整すれば趣味レベルの機械でもそこそこの精度が出ると思うんですが・・・。
「適当に工作機械にくわえさせて加工した」としか思えません。たまたまハズレ品だったのかも。
自分で修正するしかありません・・・トホホ。
またまた自作フライス盤登場!
今回はCNCソフト(制御ソフト)画面に直接Gコードを打ち込んでの単純な直線加工です。
「G01、X81、F100」→ Z軸を0.5㎜降下 → 「G01、X0、F100」→ Z軸を0.5㎜降下・・・とGコードで8回ほど直線移動を指示しました。 この作業を4面分です。
PCへの入力繰り返しはちょっと面倒。 あまり好きな作業ではありませんが、あんなに斜めった溝のままではともて使う気にはなれません!
ガンバって修正しました。
修正完了
サビ取り&修正が完了した部品たちです。
この状態で9000円ならgood!なんですが・・・。
サビ取り&修正加工の手間を考えると、「もう少し高いバイスならこんな作業はなかったのかな・・・。」なんて思ったのですが、修正して組み立ててみると意外としっかりしていることが発覚!
可動口金がしっかりしている!
購入時に気になった「摺動部の調整機構がない」は問題ではありませんでした。 ストック状態でわずかにガタがあるのですが、どういうわけか材料をくわえるとガタが出ないんです。
写真のとおり可動口金が水平です。
これまで使ってきたバイスは可動口金の裏側ネジの締め付けでガタを調整するタイプ。 しっかりネジを締めても強く材料を挟めば多少は口が開いてしまいます。
どういう原理でこうなっているのか分かりません。 たまたまなのか、先の写真の青い摺動部品の左右非対称に秘密が隠されているのか・・・。
とにかく、「摺動部の調整機構がなくガタが心配」 は払拭されました。 なかなかいいバイスではないですか!
口金の修正もバッチリです!
最後に修正した口金の精度を確認してみます。
精度と言いましてもスコヤとの隙間を目視しての垂直確認です。
どちらの写真も下側より上側の隙間の方が若干狭くなっています。(写真だと分かりにくいかもしれません)
ボール盤の穴開け作業で使用するのでこの目視程度の精度で十分かと思います。
「この修正による精度」と「クランプしても可動口金が開かない」が相まってお気に入りのバイスになりそうです!