度重なるインフュージョン成型の失敗から押さえておきたい点をピックアップしておきます。
目次
雌型の準備
雌型に突起部分がないか全周を確認する
これを怠ると、最後最後に真空バックに穴が開きやり直しになります。
雌型のとげのようなガラス繊維やコーナーなどを丸めておかないと真空バックを傷つけて「目視で探すのは困難な」小さな穴を開けてしまいます。 数分かけて真空から大気圧に戻るくらいの微小な穴です。
こうなると探してふさぐのは無理なので真空バックの作り直しとなります。
分割型の合わせ目に粘土、ワックスなどを詰める
できれば専用のフィルワックスか蜜蝋粘土で完璧を期します。処理が甘いと雌型の外側まで樹脂が漏れてネジが外せないなど後始末が大変に。
離型剤はワックス+PVAを使う
写真のような深い形状の場合、カーボンクロスを雌型にフィットさせるためスプレー糊を使うと作業がはかどります。
ですが・・・
「スプレー糊を使うとカーボンクロスの位置決め時にPVAの膜が剥がれてしまう。」
「PVAを使わずに(ワックスのみで)スプレー糊で固定させると離型性がかなり悪い。」
といった、悩ましい問題が発生します。
離型しないと元も子もないので、離型性を優先して「PVAを使用、スプレー糊は使わない」という結論に達しました。
クロス類のセット
カーボンクロス(1層目)の配置にスプレー糊は使わない
1層目は糊なしでガンバってフィットさせます。 きついアール部分にも浮き上がりなくフィットしていることを確認したら、フランジ部分にスプレー糊を吹きカーボンクロスをしっかり固定します。
2層目以降のカーボンクロス(ガラスクロス)の設置にはスプレー糊を使います。
きついアールある場合、原型に合わせてクロスをフィットさせスプレー糊を吹くと、原型の形状をクロスが保ってくれるので少し作業が楽になります。
写真のガラスクロスは#600のかなり厚いタイプです。スプレー糊と比較すると繊維がデカいのが分かると思います。
#600の利点は「しっかりしているのでセット作業がやりやすい」です。写真のように深い形状に変形させるとその形状を保ってくれるのでセットが簡単
こうすると型のなかで何度も張り直ししなくて済みます。(多少は張り直しします)
※スプレー糊はスリーエムのスプレーのり55がベストです。
55番は接着ではなく弱い粘着性を保ってくれるので何度もやり直しながら納得の位置にカーボンクロスをセットできます。
ピールプライ&樹脂供給用ネットもスプレー糊で固定する
ピールプライはあまり伸縮性がありませんので、無理に曲面に合わせることはせずハサミで切れ目を入れて重ねています。 重なる部分はあってもOKですがあまりシワにならないようにします。
ネットは余裕を持たせてセットします。写真のようにフニャフニャでOK。
クロス類をセットするためスプレー糊を多用することになります。少々高いですが美しいカーボンパーツのためこれくらいはガマンです。
樹脂供給用ネットの代用品
インフュージョン専用のネットはかなり高価です。気楽に使える価格ではないので趣味で使うなら安価な代用品を探した方がよいかと。
いまのところ一番いい代用品はこれ。 ↓↓ 100均のネット
当初、ガーデニング用の防虫ネットを使っていましたが次の2点が悩みの種でした。
「ハリがあり型にフィットさせにくい。」
「伸縮性がないため急な曲面で浮きが発生する。」
という問題です。
伸縮性のないネットを使うとこんな感じで浮きが発生するので樹脂が分厚くなってしまいます。
防虫ネットのテンションは真空圧に打ち勝って上図ように浮き上がりますが、この100均のネットなら伸縮性があり真空圧でピッタリフィットします。
真空パックする前にきちんと確認
きつい曲面にちゃんとフィットしているかしつこく確認してから真空パックします。
真空パックした後にクロス類の浮きが発覚することは何としても避けたいものです。
ブチルゴムで封印した真空パックをやり直すといった「3歩進んで2歩下がる」を繰り返しているとやる気がなくなってしまいます。
本記事ではインフュージョン成型で作業やり直しを防ぐために押さえておきたいポイントのみを取り上げてみました。
いったい何を作っているんだ?って記事になっておりますがご勘弁を・・・。インフュージョン成型をやったことがある方ならわかっていただけるかな?
追記
動画にまとめてみました。 「インフュージョン成型ってこんな感じです」が分かると思います。