今回は天井走行ホイストの改良となります。
現在進行中の「フライス作業ができるボール盤」の完成重量が60kgを超えそうです。 あまり移動させることはないと思いますが、人力で作業台 → 床への移動は厳しそう。
以前作製した天井走行ホイストがあるのですが、当初のギアボックスでは20Kgの荷物でモーターが苦しそうで、30kgが限界って感じでした。
小さなモーターを使用していたのが非力の主な原因ですが(当たり前ですね 笑)、「平歯車だけでウォームギアと同じギア比にしていたら」おそらく倍くらいの荷揚げ力はあったのでは・・・と天井走行ホイスト完成当時からモヤモヤしておりました。
平歯車は伝達効率は98%ほどですが、ウォームギアは50%程度とかなり低いんですよね。後から知りました。
シロウトなので「大きな減速比を生み出せる!」と単純にウォームギアを採用してしまったんです。無知でしたね~。
ウォームギアはネジですから摩擦による損失が大きいのは当然ですよね。
2年が経過しましたが、ようやく気になっていたウォームギアを平歯車に置き換える改造に取り掛かることにしました。
ウォームギアから平歯車へ
まず既存のウォームホイール(40歯)&ウォームギアを平歯車(54歯と18歯)に置き換えました。
新たな平歯車です。

キー溝加工が少々面倒。
歯車側はキー溝用ブローチで加工。 軸側はフライス盤で加工しています。
キー溝加工の様子は以前の記事「天井走行ホイストーギアボックスができました」をご覧ください。
平歯車に置き換えることで次のようにギア比が大きく変わってしまいます。
当初のギアの配置です。

ウォームホイール(40歯)とウォームギアのギア比は40:1。 ウォームギア(ネジ)一回転でウォームホイールが1歯分動きますので40:1と大きなギア比になります。
結果ギアボックス全体で393:1となり、このギア比なら775モーター(24V)でもいけそうな気にさせられてしまったんですね。
変更後のギアの配置です。

ウォームホイール&ウォームギアで40:1だった箇所を平歯車54歯と18歯の3:1に置き換えましたのでギアボックス全体でのギア比は29:1になります。
トルクのあるモーターが必要ですね。
この入力軸をダイレクトに駆動できるモーターってなかなかなさそうです。
775モーターから電動ドリルへ
で、閃いたのが充電式電動ドリル。 Elikliv 充電式ドリルドライバー 3,980円
バッテリーレスで4000円ほどとお手頃価格です。
ギアボックスを「電動ホイストや電動ウインチ」に丸ごと交換した方がいいのではなんて思ったりもしたのですが、電動ホイストって結構大きいんですよね。
自作ギアボックスを作ったのは「狭い作業小屋の天井に大きな機械を設置して圧迫感があるのは嫌!」という理由でしたので、当初の理念を捨てるわけにはいきません。(笑)
そこでトルクのある小さなモーターといえば・・・電動ドリルになったわけです。
ギア置き換え後の様子です。

電動ドリルのトリガーを延長して手元でコントロールできるようにします。

トリガーへの線をカットして3線ケーブル2本で延長しました。 2本に分けたのは手持ちの線がこれしかなかったからです。

改良後のギアボックスです。

延長先のトリガーは2枚の2×4材でサンドイッチしています。 握りやすいようにヤスリで成形していると銃の握りを作っている気分になりました。 ちょっと楽しい。
設置後の様子
電度ドリル仕様になったギアボックスを元に戻しました。

写真が暗くてすいません。 背景が白い天井なので逆光になって上手く撮影できませんでした。
電動ドリルには反動トルクがかかりますのでしっかりと固定せねば・・・と思っていたのですが、ドリルの自重を持ち上げるほどの反動トルクはかからないようです。
なので写真のとおりフレームに載っているだけです。
電力は架線から供給されます
充電式電動ドリルを使用しておりますが、レールで移動しますので電車のように架線から18Vを供給しています。
100V→24V直流電源(18Vに調整)→架線ワイヤー→パンタグラフ→電動ドリル、という流れです。

またまた見にくい写真ですが、集電用パンタグラフまわりでございます。
架線ワイヤーは2㎜ステンレスワイヤーを使っています。
写真のとおり天井ギリギリにギアボックスが位置していますので「電動ホイストなどの大きな機械」は設置できないんです。
電動ドリルも出来るだけコンパクトなものを選びました。
改良後、使ってみて
納得のいく改良が出来ました。
動画をご覧いただくと分かりやすいと思います。
荷揚げ実験では現在作成中の「フライス作業ができるボール盤」のアルミ材を載せてみました。 約56kgです。
56kgの重量では電動ドリルにはあまり大きな反動トルクはかかりません。
想定される一番の重いモノが「フライス作業ができるボール盤」なので電動ドリルは固定せずこのままで問題ないですね。 気が向いたらタイラップで固定しておきます。
ギア比が393:1 → 29:1になりましたが、電動ドリルが楽々持ち上げているのを確認できて安心しました。
これで気になっていたギアボックスに納得のいく改良を施せました!