固定用クランプの締め付け力をどう発生させるか悩んだ末・・・こうなりました。

矢印方向にチェーンを引っ張り材料を押し付けます。 意外と保持力がありましたのでその様子を動画にしてみました。
チェーン式電動クランプ
と名付けました。
全体像はこんな感じでございます。


この形状に至ったのは「作業小屋が狭いから」です。
設置場所が狭い
設置後の様子をご覧ください。

出来るだけコンパクトにしたい
真っ先に浮かんだのは、初めの写真の「チェーンで引っ張っている部分」を全ねじ&ナットで締め付けるという案。
ですが、常時110㎜+αの全ねじネジ&ナットが出っ張ったままになり作業台を圧迫するため却下。
出っ張りを少なくしたかったので内側からチェーンで引っ張ることに。
台形ねじを手で回すスペースがない
チップソーを作業台に予定位置に設置すると写真のとおりタイミングプーリーが壁側にギリギリなります。(プーリーの厚さ分しかない) プーリーの代わりに手動ハンドルを付けて手で回すスペースがありません。
そのため電動モーターで駆動することにしました。
では今回の工作で作ったモノを紹介していきます。
台形ねじまわりの工作
スラスト力を発揮させるのは台形ねじ。 以前自作バイスで使用した台形ねじNTR16を活用しました。
台形ねじは前後をΦ12㎜のシャフト状に加工して使います。 素材はSC45とちょっと硬めの鉄です。
台形ねじが彫られているのでいきなり旋盤での加工はせずネジ部をベルトサンダーで落としてから旋盤で切削しました。

内径12㎜のベアリングがハマるよう旋盤で外径を整えます。

ベアリングは電動モーター側に使用し、クランプ側(スラスト力がかかる側)は鉄丸棒に12㎜の穴を開けたモノを軸受けにしています。

毎秒1~2回転程度のゆっくりとした回転なので、軸の回転抵抗はあまり問題ではありません。 それよりもクランプ力発生時のスラスト力を受けることが重要です。
台形ねじのセンターに直径4㎜の鋼球がハマる穴をあけ、この鋼球でスラスト力を受けることにしました。

台形ねじ六角ナットの加工
六角ナットにチェーンを固定するネジ穴を溶接。
厚さ6㎜の鉄フラットバーを短く切って棒状にし、ネジ穴Φ3mmを開けたモノを溶接しています。

チェーンのテンションを受けるのはΦ3㎜のステンレスネジ。 ちょっと頼りなさそうで心配ですがチェーンのリンク穴が3㎜なので選択の余地なし。
実際使ってみると全然問題ありませんでした。
チェーン
当初は余っていた自転車のチェーンとスプロケットを活用しようと思ったのですが、実際現物を合わせてみると自転車のチェーン&スプロケットは意外と大きく無理がありました。
出来るだけコンパクトにするため、Amazonで新品の#25サイズというチェーン&スプロケットを購入することに。
結局余った材料活用にはならず・・・。
自転車用チェーンのピッチは12.7㎜(1/2インチ)。 今回使用したチェーンのピッチは6.35㎜(1/4インチ)。
6.35㎜(1/4インチ)なのですが、表記は25サイズとなっていました。
ピッチ/3.175㎜=「最初の数字」、後ろの数字が0=ローラー無し、 5=ローラー有、という意味らしい。
このチェーンは、ピッチ6.35㎜/3.175㎜=2、ローラー有=5、なので・・・25サイズとなるようです。
購入価格は1596円。チェーンの長さは50センチでした。 少々割高感がります。
自転車用チェーンは116リンク(12.7㎜×116=1473㎜)で900円程で販売されています。
スプロケットは歯数12の小さめのモノを購入。 2個セットで1400円程でした。
鉄板で軸受けを作りました。 ゆっくりと数回転しか稼働しませんのでグリスを塗布しておけば大丈夫でしょう。

タイミングプーリー&ベルト
歯数15と歯数20のプーリーを組み合わせて駆動しています。 これはモーター固定位置を写真の位置にするのが目的で減速比にあまり意味はありません。
たまたま余っていた20歯のプーリーに一番安かった15歯のプーリーを組み合わせただけです。
15Tタイミングプーリーは890円でした。 まあまあリーズナブル。

ベルトは90XLを選択。 ベルトもリーズナブル。3個で千円。
90という長さにしたのは「軸間を70㎜前後にしたい」からきています。
ベルト長さは「CADで延長を測る」か「先にプーリーを用意して現物合わせ」で求めます。
今回は現物合わせで求めました。 プーリーを軸間70㎜にバイスなどで固定し「細長く切った紙」を一周あてがって測ります。
およそ220㎜あればよさそうでしたので90XLを購入。
90XLの90とはベルトの長さで「長さ(インチ)×10」です。 9インチ×10なので90と表記するようです。
9インチは25.4㎜×9=228.6㎜
ちなみに、XLタイプのピッチは5.08㎜なので 228.6㎜/5.08㎜=45となりこのベルトは45歯あります。
ギアモーター
ギアモーターは「12V仕様で軸径6㎜」しか情報がありません。 10年近く前に購入したもので何の表記もありませんが、13Vをかけて回すと280rpmで回りますので、おそらくこれかと思われます。
uxcell DCマイクロモーター ZGB37-3530 DC 12V 200RPM
モーターの駆動回路は「PWM速度コントローラー5A」との表記で販売されている格安回路を使っています。
電流計に繋いで負荷をかけてみると上記ギアモーターは1Aも流れません。5Aで大丈夫でしょう。
これらのパーツを組み合わせれば「チェーン式電動クランプ」の完成です。
使用感
一言・・・結構いい! です。
手持ち材料を組み合わせたあまり格好の良くない華奢なクランプですが、保持力は十分あります。 冒頭の動画のとおりです。
よく出来ました!