今回の作業はZ軸まわりの工作です。
Z軸とはドリルを上下させる縦方向の軸。 ボール盤としても使うので電動だけでなく手動で上下できる仕組みが必要です。
目次
全体図
だいぶ形になってきました。 全体図でございます。

写真のボールねじを回すことでZ軸(ドリル)が上下します。 このボールねじをステッピングモーターでも手回しハンドルでも動かせるようにしました。
CNC、電動、手動の3系統
「フライス作業ができるボール盤」は2系統の制御(といいますか動かし方)を備えます。
X軸、Y軸、Z軸を動かすステッピングモーターを「CNC制御で動かす系統」と「手動スイッチで動かす系統」の2系統です。
「CNC制御」と「手動スイッチ」の切替はステッピングモーターへの信号をトグルスイッチで切り替えることで行います。
こんなイメージです。

図は簡略化した系統図で、
実際には各軸毎に「ステッピングモーターコントローラー」があるため切替トグルスイッチも3つになってしまいます。
そんなに頻繁に切り替えることはないので3つのスイッチをパチパチと切り替えるのもそんなに手間ではないでしょう。(と思いたい・・・)
※ステッピングモーターコントローラーとはシンプルに「右回転、停止、左回転」をスイッチで指示する基板です。
Z軸だけ本当の手動に
そしてZ軸だけ! ステッピングモーターへの電流をカットしているとき(つまり「CNC制御」も「手動スイッチによる駆動」も行わないとき)、普通のボール盤のようにハンドルで上下させる仕組みを追加します。
よって。Z軸のみ3系統の制御(動かし方)を備えることになります。
手回しハンドルの作製
どうやって手動で上下させるか悩んだのですが、結局ステッピングモーターが駆動するプーリーを2段掛けにして手動で回すことにしました。
Z軸のモーターは頂上に付いていて、タイミングベルトでボールねじの軸を駆動しています。こんな感じです。
上から見下ろした写真になります。

エンジンのVベルトのようにも見えるし・・・、よせ集めの機械のようにも見えます。 手づくりの昔の機械のようですね。
写真下方の手回しハンドルがこちらです!

写真で見るとなかなか美しい・・・。
出来るだけ工作のテンションが上がるよう大好きなアルミを磨いて作りました!
余談ですが・・
最近、「自分が納得する作業をする!」を心掛けております。
人間って横着をしたくなるものなんですよね。 自分の好きな趣味をやっているくせして手を抜きたくなる・・・。
不思議ですね~。 丁寧にやった方がいい結果になるのに・・・。
「ああ~面倒くさいなあ~」と思いながら作業するといいかげんなモノが出来上がる。
→ なんか違う・・・とやり直す。
→ 結局、時間と労力とお金の無駄遣いとなる。
という負のループにハマってしまうんですよね。(笑)
なので・・・、よく頑張ったじゃん」と思えるように丁寧に作るようにしています。(自分のレベルで、ですよ)
アルミディスクは市販のテーブル用
ピッカピカのアルミディスクはガラステーブル用のΦ100㎜、厚さ7㎜の円盤を流用。
Amazonで1100円と比較的安価に入手できました。
端材のアルミ板でも作れましたが、1000円程でクリック一つで完璧な円形の板が手に入りますので、自分でゴリゴリ削ってアルミ板から作るのは割に合わないかな・・と省力化。
こんなパーツ構成になっています。

センターボス部と取っ手の円柱は、アルミ端材からの削り出しです。
(この写真は粗削り状態。撮影後、再度旋盤で研磨しています。)
歯車で回転方向を変えています
先ほどの完成図の矢印のとおり、ハンドルを手前に回すとZ軸(ドリル)が降りてきます。
市販のボール盤と同じ方向です。
これを実現するため、歯車が2セット必要でした。

まず回転方向を直角変えるベベルギア。
これは取っておいたラジコンヘリパーツを流用。 こんなところで役立つとは!
そして回転方向を逆向きにするための平歯車。
これはAmazonでラジコンパーツとして販売していた「モジュール1の歯数20の平歯車」で、素材はおそらくSC45です。
固定用のイモネジは自分で加工する必要がありました。
2つの歯車を繋ぐ青いカップリングもAmazonで入手。 こんな美しいアルマイト加工されたカップリングが2個で900円とは有り難い・・・。
私、青色が大好きなんです! アルミのシルバーにブルーのアルマイト・・最高です。
ガススプリングの装着
Z軸上を上下するドリル部分は16kgほどあります。
15㎜厚のアルミボックス内にモーター2基、鉄製歯車3枚、主軸が入っていますので結構重いんです。
そのため手回しハンドルを押さえておかないと自重でガンガン下がってしまい、ボール盤として使うのはキビシイ。
ドリルが16kgの自重で勝手に下がってしまうと細いドリルは簡単に折れてしまいますものね。
優しいタッチでドリルを進められるように16kgの自重で下がらないようにしなくてはなりません。
というわけで、ドリルの16kgの自重に対抗するガススプリングを取付けることに。
家具、車両用ガススプリング 156N 2本で3399円です。

写真のように圧縮した状態で届きました。
比較のため100Nタイプも購入しましたが、結局不要でした(笑)
思ったより安価であることに感動。 こういった特殊なパーツが簡単に入手できると色々なモノが作れそうでワクワクしてしまいます。
用もなくこれを使って何か作れないかなあ・・って妄想がはじまりまってしまいす。
さて、Z軸のストロークは約400㎜ありますので、ガススプリングも400㎜のストロークが必要なのですが、希望のガススプリングをネットで見つけることが出来ませんでした。
仕方がないので、2本を直列にして400㎜ストロークを確保します。
ガススプリンの連結
直列にくっつけて・・・200㎜+200㎜=400㎜です。

接続に使っている中央のアルミ材はΦ25㎜の丸棒をくり抜いて作りました。

中央部分奥に6㎜のネジを切ってあり、ここにガススプリングのネジがハマります。
ちょっと残念だったのがガススプリング先端のネジが垂直でない事。

せっかくきれいなアルミでジョイントを作ったのに、2本あわせると僅かに「くの字」に曲がってしまいます。 機能的には問題なくスムースに伸縮してくれますが、ちょっと格好悪い。
この2本連結したガススプリングが記事冒頭の写真の位置に納まっています。
ガススプリングの効果
ガススプリンのいいところは、ストローク全体にわたり反発力が均一な点。
コイルスプリングですと圧縮すればするほど反発力が強くなっていきますが、ガススプリンの場合それがありません。
このガススプリングは圧縮初期でも15kg、フルストローク圧縮時でも15kgの反発力です。
重さを支えるという今回の用途にピッタリです。
ガススプリングを装着したことで、Z軸が勝手に下がることがなくなり手回しハンドルで少しずつZ軸を下げていくことが可能になりました。
普通のボール盤のように「ドリルの反力を感じながら少し下げては戻す」という微妙な操作が出来そうです。
本記事でかかった費用
ガススプリング・・・3399円
手回しハンドル用プーリー、ベルト類・・・6242円
手回しハンドル用ギア、アルミ板等・・・3733円
本記事でのパーツ購入額は・・・合計13,374円でした。
これまでの累計額は・・・313,171円です。