前回の記事では確実なFPRの離型方法を確認するため「FRP離型の実験」を行いました。 結果、PVA離型剤の使用が確実という結論に至りました。
実験するまでもなくググれば分かる事ですが(笑)、やってみたかったんです。
azarashi工場長の実験では、離型用ワックスとPVAでは離型のし易さにかなりの開きがありました。
もちろん、念入りに磨き上げた表面が丁寧な型(プロが作るような)ならワックスのみでも問題なく離型するようですが、私の場合、ワックスのみでは離型が怪しい素人FRP成型。
確実に離型するPVAを使っていきたいと思います。
そこで今回はPVAの使い方の実験を記事にしてみました。
PVAは洗濯糊を代用
FRP用として販売されているPVA離型剤はそこそこ高価なため、激安洗濯糊を流用しコスト削減に挑戦です。
趣味でFRP成型する場合、大抵1,2回程度しか型を使いません。そのために高価なPVAを購入するというのは、ちと悩ましい。
きっと多くのDiyerが離型剤に洗濯糊を使ってきたことと思います。
市販の洗濯糊の成分ってPVA(ポリビニルアルコール)なんですよね。パッケージにもちゃんとポリビニルアルコールと書いてあります!
azarashi工場長が使用したのはカネヨノールという商品。 かなりお安くAmazonだと750㏄で176円。激安ですね。
どうしてFRP用のPVAってあんなに高価なんでしょう?
洗濯糊PVAの使い方
洗濯糊を希釈してエアブラシ等で吹き付けるだけです。
刷毛での塗布はムズカシイです。刷毛だと、「ムラが出た」、「1回目の塗布で塗り残しがあった」、などで重ね塗りすると一回目の塗膜が溶けだして剥がれて凸凹になります。
というわけでPVAは吹き付けがおススメです。
希釈方法
キッチン用のアルコールを使用。洗濯糊は通常水で希釈するのですが、この度はアルコールで希釈します。
この除菌アルコールは350㏄で140円です。
水で希釈しない理由は後述します。
希釈割合は1:3程度です。例 洗濯糊5gに対してアルコール15g。
洗濯糊のメーカーによってドロドロ具合は違うかもしれませんので目安は、「水よりちょっとトロトロしてるかな程度、ほとんど水と同じサラサラ具合」です。
トロトロが強いとエアブラシで吹き付けた塗布面が洗剤のような泡になってしまいます。
また、空中でアルコールが揮発して綿菓子のような糸状のフワフワしたモノが宙を舞います。
塗布方法
エアブラシまたはスプレーガンを使用して塗布します。
海外のyoutubeでは車塗装用のスプレーガンで吹いている動画がありました。私は小物作成なのでエアブラシです。
吹き付け始めは、粒粒が目立ちますがある程度吹き付けると膜になって艶々に見えてきます。まだ濡れています。
艶々な膜になったら一旦吹き付け終了。乾燥させます。
数分で乾くのですが、私はセッカチなのでドライヤーで強制乾燥。乾くと若干艶がなくなりますのですぐ分かります。
乾いたら再度吹き付け。と三度塗りします。これは安心のためであり、一度の吹き付けでも吹き残しがなければOKです。
3度吹き付けたPVA膜はこんな感じです。
なんともはかない薄い膜です。3度塗りでこの程度なので1度塗りだとちょっと心配。
ですが、このはかないPVA膜が確実な離型を約束してくれるんです。
この離型をご覧ください!
やらせではありません。本当に「あれっ?ていう感じで外れました。」
離型するというより触ったら外れちゃったって、表現した方がいいくらいです。
この実験で、洗濯糊+消毒用アルコールで実用に耐えうるPVA膜が作れることが分かりました。安価で確実な離型方法が確立できました!
おまけ 洗濯糊PVAを水で希釈した場合
さて、洗濯糊を水で希釈した場合はどうなるのでしょうか。
答え ザラザラのPVA膜が出来ます。
水で希釈して吹き付けると水の表面張力でなかなか薄い膜ができません。
表面張力をなくすため界面活性剤(中性洗剤)を混ぜてもアルコールで希釈した時のように薄く膜状には塗布できません。
塗装の足付けのように初め薄く吹いて(ザラザラポツポツに)ドライヤーで乾燥。さらに少し吹き付けては乾燥。を繰り返して塗膜を作っていく事になります。
(もしからしたら、時間をかけて水分を乾燥させれば薄い膜ができるかもしれません)
結果、どうしてもザラザラな塗膜が完成してしまいます。
梨地という感じが分かるでしょうか。
ここまでザラザラだと製品に転写されてしまいます。
azarashi工場長、頭が足りないようでアルコールで希釈するという当たり前のアイデアが閃きませんでした。
そのため、初めのころはザラザラのPVA膜でガマンしておりました。(笑)