電動工具の有名メーカーHI KOKI製電動丸ノコとお手頃価格の新興製作所製電動丸ノコの騒音を比べたので、記事してみました。
違いをすぐに確認されたい方はYoutubeをご覧ください。
なぜ電動丸ノコの騒音比較をすることになったかといいますと、新興製作所製丸ノコのあまりのうるささにびっくりしたからです。
Amazonで8500円ほどで販売されていました。
金属を切断している音がうるさいのではなく、単に電源投入して回しているだけで激しくうるさいのです。
騒音比較の前に、まず金属用丸ノコと木工用丸ノコの違いについて説明します。
この違いがあるためあえて金属用丸ノコを追加購入しました。
目次
金属用丸ノコと木工用丸ノコの違い
チップソー(刃そのもの)の形状はほぼ同じです。
外径160㎜前後&内径Φ20㎜の標準的サイズのチップソーをネット検索すると木工用と金属用が出てきます。
木工用と比べてみると刃先の超硬チップの素材、形状に違いがありますが、ルックスはほとんど変わりません。
シロート考えで、同じサイズで装着できるなら木工用でも金属切れるんじゃない?てなります。
そのとおりでございまして、切ることは出来きるんです。が危ないのでやめた方がいいです。
労災事故例に木工用電動丸ノコ+金属用チップソーで死亡という事例を見たことがあります。怖いですね~。
チップソー(刃そのもの)の違い
市販の金属用チップソーの回転数は低く目に設定されています。
ただし、許容回転数は一般的な電動丸ノコ用の直径(100~180㎜前後)の場合、金属用も木工用も変わりありません。
代表的な直径の許容回転数(金属用チップソー)
直径 | 許容回転数 |
100㎜ | 13000rpm |
125㎜ | 9600rpm |
160㎜ | 6000rpm |
185㎜ | 5500rpm |
どのメーカーも大抵この数値です。(もちろん、これは許容回転数なのでこれより低い回転数で使用します。)
ですが、据え置き型の金属切断機に使用する大直径チップソー(刃そのもの)の許容回転数とみてみますとグンと遅くなっています。
直径 | 許容回転数 |
305㎜ | 1700rpm |
415㎜ | 1100rpm |
直径が大きんだから回転数が遅くて当然じゃないかとおっしゃる方もいると思いますので、比較のために刃の周速(外周の速度)をみてみましょう。
直径別の許容回転数と周速の比較
直径 | 回転数 | 周速 |
100㎜ | 13000rpm | 4082m/分 |
125㎜ | 9600rpm | 3768m/分 |
160㎜ | 6000rpm | 3014m/分 |
185㎜ | 5500rpm | 3195m/分 |
と一般的な丸ノコの直径の場合、3000m/分~4000m/分となります。
が、据え置き型の金属切断機用となると周速もだいぶ遅くなります。
直径 | 回転数 | 周速 |
305㎜ | 1700rpm | 1628m/分 |
415㎜ | 1100rpm | 1433m/分 |
これは「金属を切断するには周速1400m/分(回転数ではないですよ)が望ましい」というメーカーの研究結果だと思います。
切断機本体の違い
市販されている刃径305㎜程度の切断機は、無負荷回転数が1300rpm~1400rpm程になっています。
よって、周速は1340m/分程ということになります。
このことからも、金属切断には周速1400m/分程度が望ましいとされているようです。
刃径160㎜クラスの金属用丸ノコの無負荷回転数が4000rpm程であることからも、刃の速度は木工用よりだいぶ遅めです。
直径160㎜の刃を4000rpmで回すと周速は2000m/分となり1400m/分にかなり近づきます。
対して同クラスの木工用丸ノコの無負荷回転数は5500rpm程です。
金属用電動丸ノコはうるさかった
以上の違いを知り、金属用電動丸ノコを購入してみました。
今回購入したのは、Amazonで新興製作所製 AMS-165という金属用電動丸ノコです。
残念ながら前述のとおり「激しくうるさい」ため、今回の購入は失敗に終わりました。
せっかく金属用丸ノコの違いを味わい記事にしようと思ったのですが、電動丸ノコの騒音の違いの説明になってしまいました。
安価な電動丸ノコと有名メーカーの電動丸ノコの聞き比べ
新興製作所製 AMS-165 対 HI KOKI製 C7MB4の比較です。
聞き比べは文字ではあまり伝わりませんので、Youtubeをご視聴ください。
が、一応、文章でも書いておきます。
音量の比較
全然違います。別モノです。
簡易騒音計で測定したところ、Hi KOKI製は68dB程、新興製作所製は78dB程と10㏈の違いありました。
数値的には68㏈→78㏈は15%ほどの増加に過ぎません。が、実際の音量としては大きな違いです。
私は音響に詳しいわけではないので詳しいサイトを調べるとこんな説明がありました。
「6㏈増加すると音量2倍になります。」
「10㏈増加すると音量は3倍になります。」
え、どういうこと?と思った方もいると思います。
簡単に説明するとこういうことのようです。
「80dbの犬が2匹同時に吠えると、80㏈+80㏈+=160㏈ではなく、音量2倍=6㏈なので80㏈+6㏈=86㏈となります。」
これをあてはめると、新興製作所製がHI KOKI製より10㏈大きいということは、音量が3倍である=HI KOKI製3台分の音量ということになります。
新興製作所製は数値のとおりボリューム大です。
音質の比較
新興製作所製は「ガ―」というか「ギャー」といいますか何種類もの音が混ざったやかましい音質です。精度の悪いモノが回転している感じがします。
対してHI KOKI製はシューンという単一の音でマイルドな澄んだ音がします。
騒音の原因
この形状の丸ノコは、たいてい「減速」兼「軸位置を下げる」ためのギアが1段入っています。
その歯車の精度や軸受けの違いでしょうか。また写真のように刃をセンターに固定できません。内径20㎜の刃に対いフランジ部が19.6㎜しかなくどうしても偏芯して固定されてしまいます。
これによる振動も騒音の一因です。
刃を外して回転させてもかなりうるさいため、騒音の主因はギア部分にありそうです。
まとめ
新興製作所製品を低評価する記事となってしまいましたが、低価格で・・アルミベースで・・剛性のある構造で・・・と費用対効果を考慮すれば文句を言うべき製品ではありません。
集塵用のノズルも標準で付属しています。HI KOKI製には付属しておらず別途購入が必要でした。
付属品を別途購入って面倒なので、これは嬉しかったなあ。
HI KOKI製品は何台も購入してきたので安心してネットで買えますが、廉価なメーカー品は試運転して購入できる環境があるといいですね。
せっかく買ったのですが、私の場合住宅街で多用するので残念ながら手放すことにしました。ゴメンナサイ。
通電し回転させただけでまた何にも切断していませんが、この騒音では使う気になれません。
ヤフオクに出品します。
たまにしか使わない、騒音なんか関係ない、という方が使ってくれることを願っています。