この度、FRPの原型や雄型、雌型の作製をもっと簡単にできないものか・・・という悩みを解決したく3Dプリンターを購入しました。
ANYCUBIC製 Kabra Max 印刷サイズ400㎜×400㎜×450㎜。
コブラマックスって名前が恥ずかしい・・・・。
3Dプリンターの使い方を勉強するため試しにいろいろ印刷してたところ、出力された部品の寸法精度が意外と高いことに気づきました。 この精度の高さがこれまでできなかった工作を可能にしてくれそうです。
3Dプリンターの印刷精度
CADデータとほとんど変わらない寸法で印刷されています。
どの程度の精度かといますと・・・
これはとある掃除機用パーツです。
CADデータの直径は105.0㎜です。3Dプリンター出力後104.80㎜。ほぼ同じサイズですね。
他のパーツを測ってみます。
CADデータの直径は、90.0㎜。 3Dプリンター出力後90.03㎜。 うーん、手作業でこの精度は出ません。
残念ながら内径の精度はイマイチです。
CADデータ内径は66.0㎜です。3Dプリンター出力後65.60㎜。マイナス0.4㎜です。
外径はほぼ正確にCADデータが反映されますが、内径は0.4㎜ほど内側に膨らむようです。 どのサイズでも大体0.4㎜程内径が小さく出力されます。
でも、ここまで精度よく印刷されれば十分です。買ってよかったー!
この精度を生かして、3ピース構造の型枠を作ってみました。
パッキン作成用の型枠を3Dプリンターで印刷
断面がこういう形状のパッキンが必要になりました。
単なるリング状なら塩ビパイプなど円形のモノを流用して作成できるのですが、断面がこのように複雑だと固まったパッキン(型取り用シリコンです)を取り出せなくなります。
そこで、このように3分割できる型を作成しました。
↓ 内側の型です。
外側の型を被せます。
外側の型と内側の型は乗っかているだけで簡単にズレてしまうので・・・。
ズレ止めのリングをはめます。
外側の型、内側の型の直径より0.2㎜大きな内径になるようにリングは出力されています。このくらいの差があるとパーツがパチンとハマります。
ちょっときつめにハマっているので見た目には隙間がありませんが、水などの液体を入れれば漏れてきます。
この型に流し込む型取り用シリコンは多少の隙間なら漏れてこないためこの程度のはまり具合で問題ありません。
3Dプリンターだと、こんな感じでパッチンとハマる型を簡単に作製できます。嬉しい~。
嬉しくて何度も脱着しちゃいました。
ノギスは必須
今回はデジタルノギスが大活躍しました。
3Dプリンターを使っていると、出力したモノをパソコンの前で計測しながらCADで修正を繰り返す場面が発生します。
デジタルノギスだと寸法が数字で表示されるのでわかりやすい。
↓ 3Dプリンターに合わせて購入したデジタルノギスです。
実は人生初のデジタルノギス。2000円~3000円程度で販売されていました。安すぎ。でも精度は十分。
0まで閉じると毎回0.00㎜と表示されます。
どうせ中国製・・・だんだんズレて使いにくいのはず、なんて偏見で購入を躊躇していたのですが無用な心配でした。買って正解・・すいません。
しかも、電池はLR44で初めから1個内蔵されているのにさらに新品のLR44が付属していました。廉価品なのにお心遣いありがとうと逆に申し訳なくなってしまいました。
追加パーツ作製も楽々
話は戻りまして・・・、この写真のように後から追加でパーツを接着したくなったときも、精度がよいためピッタリ密着し接着が簡単です。
内側のパーツを出力した後、外周にフランジが必要になり追加出力→接着しています。接着しているのが分からないくらいです。
自作は試行錯誤の連続です。後からピッタリサイズの部品を追加できると自作のやる気が上がります!
今まで、ほとんど手作業で作っていましたのでこの簡単さ、感動です。
これでは、誰かに作ってもらったと言ってもいいくらいです。反則です。ハンドメイドではありませんね。(笑)
3Dプリンター 使うまでが大変
最後に、もしこの記事を読んで3Dプリンターが欲しくなってしまった方へ。
「とっても便利!」といいことばかり書きましたが、3Dプリンターで望みの部品を出力するのはちょっと面倒です。
実は数年前、2万円ほどの格安3Dプリンターを購入したのですが、CADやスライスソフトの知識がほとんどなくちょっとダウンロードデータを印刷してそれきり使わなくなりました。
「データはダウンロードできる」とか「印刷サービスがある」とかで、いろんなパーツが簡単に作れるというイメージが強いですが、自作好きの方は次の点をクリヤできるないと買って後悔します。(たぶん)
①CADデータが作製できる。(初歩的レベル)
②スライスソフトが使える。(初歩的レベル)
③フィラメントの特性に合わせて「試し出力→調整を繰り返す」根性がある。
これら3点は必須です。
これができないと、自分で閃いた部品を自在に作ることができません。「こんな部品が欲しい!を印刷できる」これが3Dプリンターの真価かと。
ダウンロードデータを印刷しているだけだと他人が作ったモノのコピーしているだけですぐに飽きてしまいます。
そして3Dプリンターはオブジェに。
と、えらそうな事を書きましたが、私azarashi工場長は「解説本をみながら」&「ググりながら」CADソフト、スライスソフトを使うというレベルでございます。
これで十分活用できています。